EMPEROR JAPAN TOUR 2014『In the Nightside Eclipse』20th ANNIVERSARY: 大阪梅田クラブクアトロ
- By: 増澤 祥子
- カテゴリー: Live Review
- Tags: EMPEROR


EMPEROR JAPAN TOUR 2014『In the Nightside Eclipse』20th ANNIVERSARY
Guest: SIGH
滞りなく行われた東京公演の翌日。ぎっしりと真っ黒の観客で埋まった梅田クラブクアトロは、主役を待つ熱気で満たされていた。そんな中告げられた、サモス(G)の体調不良による不参加。どよめきが起こる。私もなんだか軽く眩暈がした。

In the Nightside Eclipse – 20th Anniversary Edition
トゥルーパー・エンタテインメント, 2014年
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今年1st『イン・ザ・ナイトサイド・エクリプス』20周年を記念し、当時のメンバーで再結成しているエンペラー。幾つかのフェスへの出演が決まっても来日は絶望視していたので、決定の報には喜びで叫んでしまったほど。ビザを取得できない1st時のドラマー、ファウストに代え、別時期のメンバー、タリムにオファーしてまで実現した来日。しかもライヴハウス・サイズは日本のみ。そんな有難くも特別な日だったのに。複雑な気分は拭えない。では、我々が待ち焦がれていた、獰猛で冷徹で美しいエンペラーには見えなかったのか? それは否だ。
イーサーン(Vo/G)の咆哮は胸に迫る何かがあり格別。あくまで涼しげなタリムのブラストは滑らかで端正。長くサポートをしているセクスデーモン(B)、エイナル(Key)のパフォーマンスも激しく熱い。「今日はベストではないが最善を尽くす」とイーサーンが語ったように、サモスの分までという気迫がしっかり伝わってきた。観客も曲が終わる度、大きな歓声で応える。名曲「I Am The Black Wizards」で盛り上がりは最高潮、終盤のコーラス部分では大合唱に。その余韻のまま「イノア~?」「サタナ~!」と、ラスト「Inno A Satana」へ。高揚感と荘厳なフレーズの美しさに、目頭が熱くなった。

Anthems to the Welkin at Dusk
Candlelight, 1997年
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1st完全再現ライヴで、アンコールも1st以前の曲とバソリーのカバーという選曲だけに、当時のメンバー、サモスの不在は大きい。勿論、音も違うだろう。東京公演を羨ましく思わなくはない。しかしキャンセルにならず、最大限のプレイで会場が一体になったあの場に居られたことに、素直に感謝を。ただ2ndの20周年で“ベストな”エンペラーが観られたなら、どんなに素晴らしいだろう。最初で最後の来日にならないことを祈りながら、3年後を待ちたいと思う。