見放題2014: ライヴ・クロスレビュー
- By: 関西拠点の音楽メディア/レビューサイト ki-ft(キフト)
- カテゴリー: Live Review
- Tags: GOING UNDER GROUND, HAPPY, Lyu:Lyu, QOOLAND, Shiggy Jr., Suck a Stew Dry, THE ORAL CIGARETTES, ふぇのたす, ジラフポット, リバ-シブル吉岡, 夜の本気ダンス, 宇宙コンビニ, 花泥棒, 金佑龍


2014年7月5日に大阪アメリカ村周辺のライブハウス、カフェ、イベントスペースで開催された街中ロックフェスティバル〈見放題2014〉のクロスレビュー(複数名によるライヴレビュー)を掲載します。以下、イベントの詳細です。
公演名:見放題2014(みほうだい にせんじゅうよん)
日時:2014年7月5日 12時オープン、13時スタート、22時終演
場所:BIGCAT、OSAKA MUSE、Pangeaなど大阪ミナミ周辺のライブハウス
出演:QOOLAND、ジラフポット、リバ-シブル吉岡、ENTHRALLS、THE MAN、金 佑龍と京都界隈、THE ORAL CIGARETTES、HAPPY、Lyu:Lyu、Suck a Stew Dry、Shiggy Jr.、ふぇのたす、花泥棒、宇宙コンビニ、GOING UNDER GROUND、GOOD WARP、楽団 象のダンス、夜の本気ダンス、最終少女ひかさ、(M)otocompoほか120組
見放題2014ライヴレビュー (レビュアー:佐藤 春菜)

daydream ep
自主制作, 2014年
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アメリカ村周辺にはリストバンドをつけ、タイムテーブルと睨めっこする人たちが溢れていた。去る7月5日、アメリカ村周辺で開催された〈見放題2014〉へ行ってきた! 私自身、1日かけて様々なライヴを目撃することとなった。私の見放題の1発目を飾ったのは、花泥棒だ。稲本(vo&g)が満員のフロアに向けて「あがっていきましょ~!」と声をかけ、「1987」でライヴスタート。ドラムのビートに乗せ、ギターとベースが絡み合い、まるでそよ風が吹き抜けるような爽やかさを感じさせ、地下ライブハウス独特のアングラな雰囲気が打ち消されていく。短いライヴの中にも緩急をつけ、臨んだ彼ら。ラストには、稲本がスローテンポに弾き語ったかと思えば、一気にテンポを上げて、ビートが自由に弾みだす「デイドリーム」。いつまでも聴いていたいと思わせるハミングで余韻を残しライヴを終えた。
次に目指すは、宇宙コンビニ。続々と人が集まり、入場規制のなかライヴスタート。スローな楽曲に対して数々のリズムフレーズが詰め込まれ、独特の雰囲気を作り出す。フロアが演奏力の高さに息をのむ。ギターの流れるようなタッピングが、音数の多いドラムフレーズと不思議なバランスを演出し、まるで流水のようにフロアを音が通り抜けていく。静寂のなかに確かな熱量を持った演奏を魅せてくれた。

街と大都市
Smile Company Ltd./BLUE ALBUM, 2014年
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続いてはQOOLAND! リハーサルから本気でやりますという言葉通り本番さながらの力強い演奏にオーディエンスも体を揺らし、開演前から熱気は最高潮に。1曲目「勝つまでが戦争」で、自慢のタッピング奏法で場内に渦巻く熱気を更に加速させていく。勢いそのままに、フリ付の「熊とフナムシ」へ。サビ前のダンスは、会場中のほとんどの人が出来ていて、楽曲の浸透度の高さを感じさせた。ミドルテンポの楽曲で会場をクールダウンさせ、ラストに「ドグラマグラ」を披露! イントロで菅ひであき(Ba)がフロアを煽り、平井拓郎(vo>)は「みんな、“笑って!”って言えーー!!」と叫び、サビではバンドの鳴らす爆音と観客のシンガロングの共存で大きく会場を揺らした。
同じ会場では、続いてジラフポットのライヴだ。メンバーが揃い、ハウリングが響くなか「ジャイロ」でライヴスタート。満員のフロアが一気に攻撃的に動き出す。幾重にも展開していく楽曲が、昂揚感を抑えきれないといった中野大輔(vo>)の演奏によってCD以上の迫力をみせる。勢いそのままに「HECTOR-G」へ。オーバーリアクション気味に中野がギターを掻き鳴らせば、緩急鮮やかな楽曲に泥臭さが加わる。ラストは「みんなでアホになるぞ!」の中野の雄叫びとともに、彼ら一番のキラーチューンである「nocebo effect」! フロント2人がステージギリギリまで出てきて、フロアを煽る。フロアを包んだ熱気がライヴの熱量を物語った。
https://www.youtube.com/watch?v=QCxkvNUOdSk
この長い一日の〆に私が選んだのはリバ-シブル吉岡。さすがは、ピンク歌謡のプリンス、登場と共に溢れるリバ様コール! 1曲目から「お土産の歌」で、マイクを預けられたフロアからは、大きな声が聞こえてくる。「本日、ここからは出場規制と致します。来たからには楽しみましょう!」と高らかに宣言! 「児童ポルノ法も改訂されるので僕のコレクションも処分しなきゃいけませんね。」とぼやいて始まったのは「親心」。みんなの歌を髣髴させるにぎやかなサウンドとは裏腹に、子どもへのストレートすぎる愛情をふんだんに表現した歌詞を、どこか艶めかしく力いっぱい歌い上げると、場内からは笑いが巻き起こる。ラストは「たしが貴女の貝舐めるから貴女はああたしの貝舐めて」。和風なサウンドにうねるビートで、さながら遊郭にでも迷い込んだような錯覚を覚える。フロアに降臨したリバ様に、歓声が男女問わず(むしろ男多め)歓声が飛ぶ。会場を異様な一体感で包み込み、リバ様は去っていった。
〈見放題〉に参加した全ての人にとって、様々な出会いに満ちた1日であったこと間違いない。そして終わって初めて、疲れがどっと襲ってきて、自分がどれだけ歩き回って踊っていたのかを思い知らされる。この幸福な疲労感を是非来年も体験したいと思う。
見放題2014ライヴレビュー (レビュアー:髙橋 夏澄)

月の反射でみてた
No Big Deal Records, 2014年
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120組ものアーティストが出演し、大阪ミナミの複数のライブハウス、カフェ、クラブの各会場を使った街中ロックフェス〈見放題2014〉に行った。昼頃アメ村に着くと、すでに見放題TシャツやバンドTシャツに身を包み、赤いリストバンドを付けた人がたくさん!
まず、最初に私が選んだは宇宙コンビニ。CDは聴いたが、生で観るのは初めて。ふわふわしたライブを想像していたが、実際は熱く、勿論とてもかっこよかった。ギターのタッピングが心地良い「pyramid」が印象的。次に見たのは、GOING UNDER GROUND。松本素生(Vo.&G.)の「音楽好きな人、手挙げて!!」のフリから「LISTEN TO THE STEREO!!」。会場にいる全員で大合唱。自然と手を挙げ盛り上がってしまう。 続いてはGOOD WARP。都内を中心に活動する4人組ポップスロックバンド。結成後すぐに、「出れんの!?サマソニ!?2012」に出演したり、自主企画をソールド・アウトし続けるなど、勢いのあるバンドだ。私はこの日初めて知ったが、すごく良かった。爽やかなキラキラしたメロディーを楽しそうに演奏するメンバー。フロント三人が観客を盛り上げる。私的には今後要注目!!

Hydro human
KIRIN RECORDS, 2014年
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続いてジラフポット。この日1番の熱気とモッシュだった。「ジャイロ」から始まり、最後の「nocebo effect」では、フロント2人がステージギリギリまで前に出てきて観客を煽る。短い持ち時間ながら彼らの実力を再確認した。そして楽団象のダンス。メンバーにクラリネット奏者がいるという珍しいバンド。「夜の風」ではレゲエのような心地良いリズムにのせて踊った。客をステージに上げてギターを弾かせる場面も。私がトリに選んだのは、夜の本気ダンス。「B!tch」から始まり、「Afro」「Love connection」と踊れる曲が続く。今年発売予定というニューアルバムの中から「ガウリロ」も披露し会場を湧かせた。「fuckin’ so tired」では、米田貴紀(Vo.&G.)がフロアに降り、客もメンバーも一緒になって踊り、会場の盛り上がりも最高潮に。MCで何回も口にした「来年はBIG CATでライブしたい!」。確実に認知度も実力も上がっている彼らなら、きっと実現できるはず。
気になるバンドが多すぎて分身できたらと何度思ったことか。当日配られたコンピCD『ここにある音楽6』もすごく良かった。(個人的に、最終少女ひかさと(M)otocompoがすごく気に入った。前述の楽団象のダンスも収録)。なかなか知ることのできない東京や地方の勢いのあるインディーズバンドを知るきっかけになる、新たな出会いのあるフェスだ。来年は前夜祭からぜひとも参加したい。