ЯeaL 1st ONEMAN LIVE “Next Generation”: at 大阪阿倍野ROCKTOWN
- By: 山本 悟士
- カテゴリー: Live Review
- Tags: ЯeaL


ЯeaL 1st ONEMAN LIVE “Next Generation”
夕暮れを感じさせるオレンジの光がステージに並べられた楽器を照らす。日が沈むにはまだ早い夏の特別な一日。大阪は阿倍野ROCKTOWNでの現役女子高生バンド、ЯeaLの初のワンマンライヴ。異例とも言えるソールドアウトで当日を迎えた。ドラムに4人が集まり手を重ね合わせ、今日まで胸にしまっていた想いの全てを音に込めるように「花火散るこの川で、」を掻き鳴らし、夜を彩る。灯るライトは花火を印象づけ、始まりを告げるように咲き乱れる。

ЯeaL 1st ONEMAN LIVE “Next Generation”
新品のノートのまだ真っ白なページに書き入れる瞬間のように、誰しも初めてのことには少なからず身構えてしまうものであるが、彼女たちは目の前の250人もの観客に対して物怖じせずにストレートなロックで真正面からぶつかっていく。その姿勢に応えるようにダンスナンバー「Jumping more」で観客全員が飛び跳ねると、トランポリンのように床がきしむ。「レモンスカッシュ」では黄色のライトが灯り、四つ打ちでシュワシュワとハイハットが音を鳴らす。視覚と聴覚でその弾けるサウンドを飲み干すと脳内に広がる爽快感にやみつきになる。
嫌みのない歪んだギターが切なく琴線に触れる「反対言葉」の演奏後、MCでインディーズデビューが発表され、祝福の歓声が起こる。順調な足取りを思わせるが、今日を迎えるまでのあふれ出る不安を打ち明け始める彼女たち。辛くて苦しかったときにはいつもファンが支えてくれたから、次は私たちが支えになりたいと「Home」を奏で、本編の終幕を飾った。
全ての楽曲の作詞作曲をRyoko(Vo, G)一人が手がけている。それゆえに譜面をなぞるだけではなく、彼女が込めたメッセージをメンバー全員が正しく理解していなければ心の奥で鳴り響くことはない。今冬発売予定のミニアルバムに収録される「セナカアワセ」でアンコールを締めくくった彼女たち。絡み合うギターの音色はパイプオルガンを思わせ、交響曲のように紡がれる旋律にそこにいた誰もが言葉を失う。フィナーレが迫るにつれ、感情のタクトに引っ張り上げられるRyokoの歌声に共鳴する楽器隊。その光景は紛れもなく4人の想いが1つになった瞬間であり、ここ関西から新たなガールズロック・シーンの萌芽を目の当たりにした気分だ。そして、その先頭を切ってシーンを牽引していく期待を感じさせるライヴであったことに間違いない。白紙だったページに大いなる物語の始まりが今、確かに刻まれた。

ЯeaL 1st ONEMAN LIVE “Next Generation”

ЯeaL 1st ONEMAN LIVE “Next Generation”