tigerMos: at 鶴舞K.Djapon / うんにょろず: at 四日市ガッツU
- By: 森 豊和
- カテゴリー: Live Review
- Tags: NARCO, tigerMos, うんにょろず


広島出身US帰りのSSWイケダユウスケが今、名古屋のインディー・シーンで注目を集めている。彼はフォーク、ポスト・ロックを基調として様々な音楽活動を行っている。レミ街の荒木正比呂を誘い結成したユニットtigerMosでは、今年オブ・モントリオールとの共演を果たした。
鶴舞K.Djaponで観たtigerMosから私は「狼の子どもが乗った揺りかご」を連想した。安定して揺れるリズムに支えられ、浮遊感あるファルセットの英詞ヴォーカルが大地を震わす。ハスキーだが少年のような声。獣のように悶える肢体、踊るように吼えるように歌う。キーボードの荒木がときに鍵盤ハーモニカも交えて、子守唄のようなメロディーを添える。優しい音色が歌を屋台骨のように支えている。ヴォーカル/アコースティック・ギターの池田は時折目をつぶる。何が見えているのか。雲の流れる広々とした平原が私には見える。ドラム、ベース、エレキ・ギターのサポート・メンバーも余計な音は出さずスキマを大切にして音を紡いでいく。大自然の中に佇んでいるような錯覚。不意に聴こえる声が現実に連れ戻す。静かな曲で子どもの声が演奏に重なったのだ。

ROTH BART BARON『The Ice Age』TOUR 2014 IN NAGOYA Supported by THISIS(NOT)MAGAZINE
Live: ROTH BART BARON, tigerMos, PLUTATA(ex.jaaja)
後日、四日市ガッツUでのうんにょろず名義でのライヴも観た。海底からゆらゆらと地上に聞こえてくるようなオブスキュアーな響き。念仏を唱えるような不思議な日本語ヴォーカル。パーカッションが木魚や鈴(りん)の音を鳴らしたかと思えば、サックスに持ち替えて吹くと、池田がアコースティック・ギターのボディーを打ち鳴らしパーカッション代わりだ。NARCOの女性キーボーディストがそれをサンプリング、アヒルや赤子の声を出すオモチャをさりげなく効果音として挿む。三味線のような単音弾きのエレキ・ギターも雰囲気を助長して、和製ペイブメントといった趣。
両ユニットとも海外から見た日本のクールさを体現している。US帰りの池田だからこそできる音楽だろう。

Live: うんにょろず, 柳茶屋, 百長, over skill