MILK: MY E.P
- By: 白原 美佳
- カテゴリー: Disc Review
- Tags: MILK


MY E.P
Summer of Fun, 2014年
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名古屋のインディー・ハードコアパンク・バンドMILKが延期に延期を重ね、初の7インチレコードをぬるっとリリース!
10年代以降、地元の音楽シーンを支えていくであろう、名古屋発のレーベル「Summer Of Fun」からぱかっと発表!
1曲がせいぜい1分弱の全8曲10分にも満たない、7インチ45回転でぎゅっとパッキング!
レコード盤面のイラストは、ジョセフ・アルカ・ポルカのてんしんくんがゆるっと作画!
Peace Musicの中村宗一郎がさくっとマスタリング!
……。というように、関西では『ボロフェスタ 2013』に出演、5月に京都発インディー・パンクレーベル「生き埋めレコーズ」の第1弾コンピレーションに参加しているのも記憶に新しいMILK。
1曲目「MY」がかかった瞬間、ぼろっぼろの50ccバイクにまたがった少年達が、人懐っこい笑顔で、何故か2速でクラッチ全開で走り抜けて行く姿が浮かんだ。「何、あいつら…」そう突っ込む前に、彼らはもう次のコーナーを曲がっていく。
ポップコーンの様にぽんぽんとはじける言葉達がループする一方で、小気味いいギターリフも追いかけて、バンドの機動力を加速させていく。しかし、ハードコアパンクが根底に在りながら、ノイズは少なめで小手先の技術も使わない、4人の混じりっ気のない音がストレートに入ってくるのどごしの良さもある。
不満や反骨精神をエネルギーにする、攻撃的なサウンドスケープがパンクのデフォルトだが、A面2曲目「chat song」は、ただ「友達とチャット!」と叫ぶ、友好的で健全(?)な今風男子だし、どこまでも無邪気でファニーという側面で逆にパンクスを裏切っているかのよう。B面ラスト「we are the boys」は、イギリスのOiパンクバンドBLITZのカヴァーだが、原曲をご存知の方は笑っちゃうようなカジュアルなポップ・パンクに変換、ポコポコサウンドの加速は最後まで止まらず、ライブのショウケースを見せつけられた気分だ。ここから果たして突然変異を起こして、他のジャンルへ枝分かれするのか、それとも孤高のパンクロックの地位を新たに植え付けることができるのか。
うだうだと書いたが、どちらにせよ突っ込みどころ満載で、これからの動向が無性に気になるバンドであることに違いない。(あと、ボーカルの松原くんはスケボー出来なさそうだけど、どうなんだろう。)