sukida dramas: Teddy Boy
- By: 森 豊和
- カテゴリー: Disc Review
- Tags: sukida dramas


Teddy Boy
ONE BY ONE, 2014年
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京都のそれと同じく、名古屋のインディー・シーンにも良い意味で狭いゆえの親密さがある。それが近年さらに狭くなっている。演奏する音楽ジャンルや出演するライヴハウス、出身大学などでおおよそ仕切られていた枠が、LIVERARYのような新しい地元密着メディアの登場や、低コストでノルマ・フリーなライヴ・スペースの乱立で崩されている。そういった自由な雰囲気は責任や自主性と表裏一体でもある。そんな名古屋の重要レーベル《ONE BY ONE》から、2011年結成、名城大学世界民族音楽研究会発、5人組キーボード・パンクスsukida dramas(スキダドラマズ)のシングルがリリースされた。
彼らの信条は、みんなが歌えるパーティー・ソング。結成当初は2曲目「Fish & Chips」に代表されるようにヴァンパイア・ウィークエンド等のUSインディーの影響色濃いサウンドだったが、次第にワールド・ミュージックと日本古来の祭囃子を融合させたような独自のダンス・ミュージックへ突き進む。3曲目「ゴリラ」は笛の音とパーカッションが底抜けに楽しいラテン風ロック。大学サークルの先輩バンドmudy on the 昨晩にも共通するが、プログレッシヴ・ロックばりに次々と展開していく曲調は驚きの連続だ。
そして表題曲「Teddy Boy」は焦燥感をユーモアで打ち消しながら駆け抜ける絶叫アフロ・パンク。曲のタイトルはビートルズがデビューするより前の時代のロンドンで不良少年が好んだファッションを指す。彼らはその時代にまで遡ってロックを定義し直すつもりかもしれない。なんて壮大な野望だ! 時代の流行に左右されるのではなく、自分達で選び取る意思を感じる。実際にサイト管理、動画製作も自分たちで手がけ、日本のバンドとしては早くからバンドキャンプを活用して音源配信、地元フェス出演、OTOTOYのイベント等で東京進出、とにかく外へ外へと放たれるエネルギーが半端ない。彼らが全国区の知名度を得るのも時間の問題かもしれない。